亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

厚手の生地を押し退けて伸ばされた小さな小さな細い手。
それは意味も無く宙をさ迷い………真っ白な五本の指で、ザイの服を掴んだ。


そっと。








だが、力強く。

























「―――…あ…。……ぅ……っ………………うっ…」






















抱きしめた身体は、小さい。

しかし、とても温かい。

命の、温かみ。

……純白の綺麗な産着が、汚れていく。


でも、こうでもしないと…自分が壊れてしまいそうだった。







この小さな命に縋り付く様に、希望を求めるかの様に、ザイは。







涙で汚れていく産着に、どうしようもなく、嗚咽を漏らした。


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