亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
19.白昼の攻防







草木が芽吹く。



風が走る。



雲が空を這う。



陽光が降り立つ。



鳥が羽ばたく。



獣が咆哮をあげる。











息をする。

鼓動を聞く。

目を閉じる。

目を開ける。




命を見る。

生を知る。






世界は、生きている。


世界が、動いている。




動き出そうとしている。




どんな未来を、先を見据えているのか。

世界は、動く。歩き出す。




世界と共に、歩き出さなければ。

私達は、何も変わらない。
変わることなく一生を終えるか、未踏の地へ踏み込むか。






それは自由だ。


私にとっても、誰にとっても、その選択は自由だ。








私は、歩く。



私が一つの大国の上に立つ女王だから、ではない。


私の国のために、私に生きる意味を与えてくれた人のために、守りたいもののために。

私は歩く。


走り出す。




誰かが、変えなければならないのならば。


私が変えてみせる。





ただただ、私は走る。




たくさんの犠牲を生み出した過去を抱えて。


先祖達の屍を越えて。
















ついて来るのか?





それも自由。




だが、ついて来るのならば。


それなりの、覚悟がいる。






私に、ついて来るか。






はぐれるな。



前を見ていろ。




眩しくとも目を背けるな。


闇を恐れるな。







うちひしがれようと、心が潰されようと、それでも堪えられるというなら。

















その手を、伸ばせ。












私が、手を引いてやる。


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