亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
20.神様、何故ですか



あのね、あのね。


王様ってね、すっごくね、えらいんだよ。


すっごくえらくて、命令出しちゃら、ぎょいっ!…て皆言うんだよ。

すっごくかっこよくて、すっごきゅ頭がよくて、すっごくつよくてね。







すっごく、辛いんだ。













王様がどんなのか、僕、よく知ってりゅよ。

僕の母上が王様だから、知ってるよ。





おしごとがたくさんあっちぇね、一日ずっとお部屋にいたり、お外にいったら、ずぅっと帰ってこなかったりね。
すっごくいそがしいんだよ。

絵本の王様とは、ぜんじぇんちがうんだよ。



つかれたーって、母上、言わないけど、言わないだけなんだよ。
時々、頭が痛くて寝てたりするって、妖精しゃんが言ってたんだよ。





だから、王様って、すっごくつらいんだ。


なりたくてなったわけじゃないけど、ならないといけないんだ…って、前に母上、こっそり教えてくれちゃんだよ。






僕、今は王子だけど。大きくなっちゃら、王様なんだ。

大きくなって、いっぱいお勉強して、つよきゅなって、母上を助けてあげるんだ。



…でも母上、ルウナは生まれる前から命のおんじんだよって、言っちぇた。

おんじん?僕、なーんにもしてないのになぁ。変なの。でもまぁ、いいや。













母上、これからまた、いそがしくなるって…言ってた。






おっきな、おしごとなんだって。

世界をきれいにすりゅんだって。






すごいな。

すごいな、僕の母上。




…でも、ケガ、しないでね。


早く帰ってきてね。









僕も皆も、父上も、待ってるから。

















ルウナ、いい子にしてるから。


母上。

< 1,188 / 1,521 >

この作品をシェア

pagetop