亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
20.神様、何故ですか
あのね、あのね。
王様ってね、すっごくね、えらいんだよ。
すっごくえらくて、命令出しちゃら、ぎょいっ!…て皆言うんだよ。
すっごくかっこよくて、すっごきゅ頭がよくて、すっごくつよくてね。
すっごく、辛いんだ。
王様がどんなのか、僕、よく知ってりゅよ。
僕の母上が王様だから、知ってるよ。
おしごとがたくさんあっちぇね、一日ずっとお部屋にいたり、お外にいったら、ずぅっと帰ってこなかったりね。
すっごくいそがしいんだよ。
絵本の王様とは、ぜんじぇんちがうんだよ。
つかれたーって、母上、言わないけど、言わないだけなんだよ。
時々、頭が痛くて寝てたりするって、妖精しゃんが言ってたんだよ。
だから、王様って、すっごくつらいんだ。
なりたくてなったわけじゃないけど、ならないといけないんだ…って、前に母上、こっそり教えてくれちゃんだよ。
僕、今は王子だけど。大きくなっちゃら、王様なんだ。
大きくなって、いっぱいお勉強して、つよきゅなって、母上を助けてあげるんだ。
…でも母上、ルウナは生まれる前から命のおんじんだよって、言っちぇた。
おんじん?僕、なーんにもしてないのになぁ。変なの。でもまぁ、いいや。
母上、これからまた、いそがしくなるって…言ってた。
おっきな、おしごとなんだって。
世界をきれいにすりゅんだって。
すごいな。
すごいな、僕の母上。
…でも、ケガ、しないでね。
早く帰ってきてね。
僕も皆も、父上も、待ってるから。
ルウナ、いい子にしてるから。
母上。