亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
彼は、ユノで。
ユノは、生まれて初めての友達で。
ただ一人の、親友で。
僕が、大好きな。
彼の、僕とは違う澄み切った青の瞳が、僕は好きだ。
とっても綺麗で、見ているだけで心が晴れる気がするんだ。
だけど。
今、僕を見ている彼の瞳は。
僕が大好きな、あの瞳じゃない。
僕は、知っている。
今の彼の瞳に、何が浮かんでいるのかを。
僕はよく、知っている。
知ってるんだ。
だから。
…とっても、悲しくて。
悲しくて。
悲しくて。
もう、泣かないようにしようって決めた筈なのに。
ねぇ、ユノ。
ユノ、お願い。お願いだから。
ユノ。
「―――何で、君なんだい?」
最後にそう呟いた親友の声は、低く。
…一筋の熱い涙を静かに流したレトの姿が映る彼の瞳は。
…鮮血の如く、真っ赤に染まっていた。
赤く、赤く。
隠す気の無い、凄まじい憎悪を浮かべて。
…ああ、お願い。
お願いだから。
僕を。
………。
そんな目で、見ないで。