亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~




「歳は幾つ?」

「………11…」

「それも僕と同じだ」



親しみを込めて投げ掛けられる笑顔。
繋いだ手をブンブンと振り、楽しそうに笑い声をあげる。

「………うん。同じ、だね」














そんな些細な事が、何故だか嬉しかった。

同じ位の背丈に、歳。
同じ様な境遇。

同じ様に、向かい合って握手をしている。







身分も性格も、抱えている重荷も、全然正反対なのに。






………こうやって同じ時間を共有して、話している事が………嬉しい。

それだけなのに…嬉しい。








「…………あ、笑った。初めて笑った!」

突然、ユノが嬉しそうにこちらを指差して叫んだ。


………無意識で笑っていた様だ。気付かなかった。





「…もっと笑いなよ。たくさん…たくさんね」

「………笑うの…苦手だから」

「大丈夫さ。僕の護衛をする間は、たくさん笑ってもらうから」













…自信満々に言う彼の言葉は、真実になる気がした。

たくさん、笑えるかもしれない。

笑い合えるかもしれない。







こんなの、初めてだ。



彼の様な存在自体が、初めてだった。




















「レト、君は子供と遊んだ事が無いのかい?雪合戦も知らないみたいだけど」


雪合戦を再会しようと言い出したユノが、不意にそんなことを尋ねてきた。






レトは少し困った様に首を傾げる。








「…………無いよ。……………………会った事はあるけど……………………………………………全員…」














< 150 / 1,521 >

この作品をシェア

pagetop