亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「歳は幾つ?」
「………11…」
「それも僕と同じだ」
親しみを込めて投げ掛けられる笑顔。
繋いだ手をブンブンと振り、楽しそうに笑い声をあげる。
「………うん。同じ、だね」
そんな些細な事が、何故だか嬉しかった。
同じ位の背丈に、歳。
同じ様な境遇。
同じ様に、向かい合って握手をしている。
身分も性格も、抱えている重荷も、全然正反対なのに。
………こうやって同じ時間を共有して、話している事が………嬉しい。
それだけなのに…嬉しい。
「…………あ、笑った。初めて笑った!」
突然、ユノが嬉しそうにこちらを指差して叫んだ。
………無意識で笑っていた様だ。気付かなかった。
「…もっと笑いなよ。たくさん…たくさんね」
「………笑うの…苦手だから」
「大丈夫さ。僕の護衛をする間は、たくさん笑ってもらうから」
…自信満々に言う彼の言葉は、真実になる気がした。
たくさん、笑えるかもしれない。
笑い合えるかもしれない。
こんなの、初めてだ。
彼の様な存在自体が、初めてだった。
「レト、君は子供と遊んだ事が無いのかい?雪合戦も知らないみたいだけど」
雪合戦を再会しようと言い出したユノが、不意にそんなことを尋ねてきた。
レトは少し困った様に首を傾げる。
「…………無いよ。……………………会った事はあるけど……………………………………………全員…」