亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~















「―――レト、そろそろ移動だ」



答えようと口を開けた途端、低いザイの声がそれを阻んだ。

後ろにはサリッサも続き、二人共荷を背負っている。





子供二人が深雪の中で雪の塊を手に構えているのを見て……ザイは首を傾げた。




「………………二人で、何をやっているんだ?」


……え―っと、とレトはぼんやりしながら、この遊びの名称を思い出す。


「………………雪………………合………点………?」

「……………雪が、点……?」






静かに天然オーラを放つ親子を眺めながら、ユノは眉をひそめ、サリッサは苦笑した。





























「………行き先は、『神託の柱』でよろしいか…?」

「……はい。お願いします」











レトはマントの内の武器の整理と確認をし、その様子を好奇心に満ち溢れた目で観察するユノの後ろで、大人二人は護衛内容の確認をしあっていた。


………聞き慣れぬ名称。…『神託の柱』。

「………『神託の柱』…?」

数本のナイフを腰のベルトに差し込みながら呟くと、傍らのユノがそれに答えてくれた。

「知らない?別名、『神声塔』。………王族が神への忠誠を誓う、祭礼をする場だよ。大昔は占いなんかもやっていたけれど、今はただの廃墟同然」

「………どうしてそんな所に行くの?」

わざわざそんな廃墟に行かなくても……と疑問に思うレトの前で、ユノはえっへんと胸を張って誇らしげに言った。



「夢の御告げだよ!……ついこの間、御告げがあったんだ!………………三大国の頂(いただき)に立つ王なる者は、我が言葉を受けるべし……ってね」
< 151 / 1,521 >

この作品をシェア

pagetop