亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

泣きたいのはこっちなのに。





メソメソ、メソメソ、そんなに泣いちゃって。






そんなんで、王様になれるのかな。



……僕の親友は、本当に不思議だなぁ。












同じ歳なのに、狩人で、強くて、化け物も人も簡単に倒してしまうのに。



臆病者で。

父親離れが出来ていなくて。

変なところが抜けていて。

物凄い天然で。



料理もまずいし。

妙に頑固者だし。

お人よし過ぎて。

馬鹿正直な。







泣き虫な、僕の、たった一人の。
















最初で最後の。






僕の、親友。






親友、なんだ。






















「………ほら………またいつも…の……無愛想、な、顔…………………笑え…っ…て…………言って…る…じゃないか……」
















痛みが嘘みたいに引いていく。
段々と遠く、色も無くなっていく意識の中。




目を閉じれば、きっとお終い。




ゆっくりと目を閉じていく彼に、レトは精一杯の笑顔を向けた。

涙も拭っていない酷い顔は、きっとまともに笑えていない。





事実、ユノが暗闇に意識を投じる瞬間に見たのは…悲しい、とても悲しい笑顔だった。


笑顔になっていない、彼らしい不器用な笑み。

悲しみを滲ませた、笑顔。





底の見えない何処かへと、全てが持っていかれる。
その先が暗いのか、明るいのか、全く分からない。心地よい眠気に誘われる。







最後の呼吸は、酷く冷たい空気で。


深く息を吸い、ゆっくりと吐きながら……ユノは、子供らしい悪戯な苦笑を浮かべて。







































「―――…下手くそ」




















< 1,517 / 1,521 >

この作品をシェア

pagetop