亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
………夢の御告げ…。
……それはとても神秘的なものだが…………………信憑性は果たしてあるのか。
「………神の声は、王にしか聞こえないものだと言われています。………人によっては、声が聞こえなかったりする様ですが…………………神への忠誠心が厚いこの国だからこそ、聞こえたのだと思います。………ユノはこれまでにも何度か、夢で御告げを聞いているのです………」
「本当かどうかは分からないさ。………でもね、どうしても行かなければならない気がするのだよ。………早く…早く来いって………………毎晩、聞こえる」
………誰が何と言おうと、サリッサとユノは神声塔へ行くだろう。
そこに何が待っているかは知らないが。
………狩人の自分達は、この二人を無事に神声塔につれて行く。
それが、使命だ。
ザイとレトは互いを見やり………深く頷いた。
「………依頼の内容がどんな物でも、我々はただ、それを遂行するのみです。………御守り、致しましょう…」
「…頼んだよ、二人共」
ユノはにっこりと微笑んだ。
「………はい。死んだあの狩人の無念を晴らすためにも。………………ではユノ様は、母君と共に。……先頭は私、後ろにレトがつきます。…それから…」
神声塔まで移動する間、どんな体制で行った方が良いかを説明するザイに、ユノは両手を腰に添えて顔をしかめた。
「………お母様と、並んで?…………冗談じゃない………………レト、僕は君と一緒に行くよ。僕達が先頭だ」
……急に不機嫌になったユノは、驚いて硬直するレトにズカズカと歩み寄り、手を取って先に進み出した。
レトは成すがままに、半ば引き摺られて行く。