亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
5.憂鬱な化け物
……少し成長する度に…。
目元が…。
口元が…。
笑顔が…。
雰囲気が…。
…………あの人によく似ているって……思うわ。
あの人も子供の頃は、この子の様に輝いていたのかしら。
………………そんな風に、微笑ましくあの子を毎日見ているのだけれど…。
………………あの人ではなくて、自分と似ている…って所を見つけてしまうと…。
………親子なんだなぁって思う反面…。
………酷く………罪悪感に似たものが、私を襲うの。
あの子は…あの人の子供。
私の、子供。
………ああ……どうして……私なのかしら。
どうして………私が母親なのかしら。
………………ごめんなさい。
ごめんなさいね…。
私なんかが母親で……………ごめんなさいね。
どうして…あの人は死んでしまったのかしら。
どうして私じゃないのかしら。
神様……アレス様…。
私の存在は、あの子を苦しめるだけです。
どうか…どうか……あの子に御慈悲を…。
私に、罰を。
………。
………ごめんなさい…………ごめんなさい。
母親が私で、ごめんなさい。
ごめんね……ユノ。