亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「………訪ねる価値はあると思う。………神声塔に行った後……城に向かう前にその医者とやらを訪ねよう…」
「………嫌われ者のお医者さんね―………何でこう…厄介な人間ばっかりかな……」
ブツブツと小言を漏らすイブを無視して、リストは地図を懐にしまった。
さて、やるべき仕事は尽きない。
フェンネルの城に帰れるのはいつになることやら。
………だが帰ったら帰ったで……ジンには何故か睨まれ、ダリルには書類整理を押し付けられ、ルウナ様には遊んでとせがまれる。
………あれ……?……………どっちにしろ仕事は尽きないな。
常に多忙な日々を送っている事を改めて理解し、リストは深い溜め息を吐いた。
ちらつく雪は、吹雪へと役変えしようとしていた。