亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
















灼熱の陽光が差し込む長い廊下に、忙しない足音が鳴り響く。
それは少しも乱れず、一定の速度で、床を蹴って行く。

召使が頭を下げきる前に、それら数人の影はあっという間に通り過ぎて行った。


まるでそれは風の様に。嵐の様に………。








「―――検討すべきだ…!」

「…しかし…これ以上の軍を潜入させると……もはや隠し通すことは困難…」

「そんな事を言っている場合か?……充分だと考慮して潜入させた約二百の兵士だが……計画の進行は滞っていると聞いたぞ」

「………そう…全てがうまくいっていないのが現状だ。…全てがな!」











(………)













大声で論争を重ねながら軍議室を目指す軍部大臣らの行列。
……その最後尾で、ウルガは沈黙を守りながら彼等の話をじっと聞いていた。




緊急会議が開かれる事になったのだ。

議論の的は、言わずもがな……デイファレトの行方不明の王族暗殺計画についてだ。

その計画がどれほどまで進み、どれほど遂行出来ているのか……ウルガは全く知らなかったが………あまりうまくいっていない事は、薄々感じていた。



………近頃、城内が酷く慌ただしい。












「………それで…今朝届いた報せとは何処からだ……?」

「………第一班からの報せだそうだ…」

「………第一班…?…………ふん………確か、城への潜伏を命じた……あのドール嬢も同伴の班だな………」

荒い鼻息を吐き、軍部大臣は歩調はそのままで軍議室の扉を勢いよく開け放った。



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