亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


「………うーん……僕もよく知らないけれど…書物によると……………塩辛い水が、いっぱいある所なんだって。湖よりもっと大きな…向こう岸が見えないくらい大きな世界さ!……三つの大陸はその上に浮かんでいるんだってさ」






………………全部、水…。


………歩けないな。……塩辛い?…飲めないのか…。
………大陸は……今いるこの大地は、浮かんでいる…?



(………湖とかなら見た事あるけど………何処にもそんな……水だけで果てしない光景なんて………)







………なかった。

今の今まで父と共にこの国の至る場所を端から端まで旅してきたが……やはり、そんな景色は見た事が無い。



………大陸の端は、人間など到底登れそうにない断崖絶壁。
……ほぼ直角で天まで届くくらいの、薄汚れた白い壁の如き岩壁が隙間無く並んでいるのだ。

国境沿いの道の両端にも、その不自然な壁は並んでいる。

………まるで、人間が外に出られないようにしているかの様に。



外が見られない様に。











………不可解な、岩壁。





あの壁を越えた向こうに、ウミとやらがあるのだろうか。

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