亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
貝殻は最初から二つに分かれていた。
その内の一つを掴み、ユノは目の前に突き付けてきた。
「…この片割れは、君のだ。……依頼人と狩人、じゃない。………友達っていう証だよ。………………君と僕の、証石」
………綺麗な模様の、白い貝殻。薄っぺらいのに固くて、皿の様に凹んでいて…とても小さい…。
少し遠慮がちに両手で受け取ると、ユノは嬉しそうに満面の笑みを見せてくれた。
………大切にしよう。
唯一無二の、僕の、宝物。
僕の、宝物。
僕と、彼の、証石。
小さな白い貝殻を指先で摘み、夜空に高々と上げて眺めた。
キラキラと光って見えるその白さの、遥か向こうから。
厚い雪雲を纏った朝日が、もうすぐ、目覚める。