亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
7.ごめんなさい
―――…私の主は、少々変わっておられる。
他の方に仕えた事など無いから比較は出来ないが、多分主は変わり者だ。
主がこの世に生を受けられた時から、私は常に、主と共にいる。
あの老王様とは似ても似つかぬ見目麗しい幼子は、スクスクと大きくなられ……………………………………………何とも意地が悪く、女癖の悪い、何事にもその爽やかな笑みで威風堂々と構える、全体的に見ればまあ逞しい青年になられました。
何処で道を間違えたのでしょう。
兎にも角にも、私は主に仕える魔の者である事に、誇りを持っております。
…誇り。
それは魔の者ならば皆持つもの。
この命に代えてでも、私は主をお守り致します。
私達魔の者とは、そういうもの。
あのログも、例外ではない。
出来損ないは出来損ないなりに、彼女は彼女の主に応えようと必死だ。
…私は……あの第2王子が…リイザ様が………どうも、あまり好きではない。
彼が主を見るあの目……何かが潜んでいる様で、落ち着かない。
………………主よ。
…我が、主よ。
貴方もお気付きの筈だ。
しかし、何故貴方様は…老王様や弟君から顔を背けられ……いつも遠くを見ているのですか。
どうして、何もかも分かりきった様な事を言われるのですか。
……まるで……貴方様は、何かを諦めていらっしゃる様だ。
私には関係無いと……そんな虚ろな目をされている。
主、我が主。
…どうか、このカイめに、何なりとおお仕付け下さい。