亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
9.雪中の邂逅


………。


………。



………ああ、まだ痛い。


はたかれたせいでほんのりと熱を宿す頬が。
爪が食い込むまで握られた腕が。
壁に打ち付けられた頭が。
したたかに蹴られたお腹が。
踏まれて折れてしまった指が。
ナイフで貫かれた眼球が。






痛い。

痛いの。





…でも……もう、慣れてしまったこの痛み。




…良いのです。


私は……どんなに傷付いても…構いません。

………貴方様が抱える痛みは、こんなものではないのでしょう。


………いえ………痛みなど………そんな表面上のものなど………貴方様には関係無いのでしょう。



…遠い昔から。

………貴方様がお生まれになった時から。

私は貴方様を見守って参りました。



貴方様のお側に、いつも、いつも。












………役立たずな付き人で、申し訳御座いません。



貴方様の機嫌を損ねてばかりで、申し訳御座いません。






どうか、どうか。




………要らない、とだけは、おっしゃらないで下さい。



ずっと、ずっとお側に。


この先も。

ずっと先も。




どうか。

どうか。



















………貴方様のご命令ならば、私は何でも致します。


…貴方様が何をされようとも…私がどうなろうとも…。





―――…本当の主である神に、背を向けようとも。

















主様。




リイザ様。


















何があろうとも私は、貴方様の付き人です。
















ログは、ずっと…ずっとお側に。
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