亡國の孤城Ⅱ ～デイファレト・無人の玉座～

おいていかないで。

おいていかないで。

おいていかないで。

おいていかないで。

おいていかないで。


















「…………お…いて…いかない……で……」



















…単純で、単調で、くぐもったか細い声の言葉を、繰り返す。



…わんわん泣く。
















何を言っても、何をしても、この子は私を離してはくれないだろう。

ずっと、追いかけてくるだろう。















私を解放してくれない、小刻みに震える小さな身体。




『父さん』、と………私を呼んでくれる。


子供の様に。




………そうだ、この子はまだ……子供ではないか。



小さな小さな…子供ではないか。















…そっと屈んで。

…冷たい雪を被ったその頭を撫でて。

………華奢な身体を包み込む様に、そっと、静かに……壊してしまわない様に、抱き締めた。




















そうだ。

この子は、子供。





レトバルディア。







レトバルディア。

















この子は、まだ子供。















この子は。










私の、子。














たった一人の。




…私の子。