亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
王族の護衛となれば、その報酬はさぞや凄い額なのだろう。
その依頼に食い付く狩人は……金に目が無い薄汚い輩の集まりだ。欲に飢えた屑ばかりだ。血も涙も無い、愚かな者達だ。
………あの老王の元で偉そうに威張り散らす、飼い犬どもと、同じだ!!
狩人を非難するドールに対し、レトは首を左右に振った。
「………違う…!………僕は…僕は……報酬が欲しいから……………一緒にいるんじゃない……」
「………はぁ…?」
このガキは、何をほざいているのか。
あまりに呆れて嘲笑さえ出てきたドール。しかしレトは真剣なまなざしでドールを見詰め………腕の中のユノに、視線を移した。
「………………僕は………ただ……守りたいだけなんだ。………僕が守りたいから………一緒にいる。…約束したから。だから、僕は…………………………………………………………この子を、守る…」
………真っ直ぐな瞳。嘘など、紛い物など知らない………澄み切った紺色の瞳。
久しく忘れていた、見ていなかった…。
本当に純粋な………まなざし。
………何よっ……こいつ………!!
ギリッ…と、奥歯を噛み締め、ドールは鎚の柄を両手で握り締めた。
「………馬鹿らしい!!…あんたのその目………………大っ嫌い…!!」
………大嫌い。
他人を信じられないあたしにとって、その目は………見るに、耐えない。
その目に映る自分が。
嫌になるから。