亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~












『―――…デイファレトの…王族の暗殺…?……奴等の言う事聞いて何になるって言うんだ…』

『…心配無用よ。……これは赤槍の単独行動……白黒のあんた達には何の迷惑もかけないし、死んでも何の情報も漏らさないわ』

『………ドール…気持ちは分かる。だが…危険過ぎる。お前はお前だけの問題として片付けようとしているみたいだが………そんな簡単に済むと思っているなら、それは大間違いだ。お前は赤槍の長で、三柱の内の一本柱だ。………何か起これば、お前一人が崩れる訳じゃない………』

『………………先に詫びておくわ』

『ドール…!』

『……詫びておくって言ってるのよ。………それと……あたしはドールじゃないわ。………赤槍よ…』

『………』

『……あたしは…あんた達二人に比べればヒヨッコも同然よ。まだ12歳になったばかり…。身体も小さいし、あんた達程力も無ければ、オルディオ程の頭も無い。……感情的で、勝手な事ばかりする………うるさい小娘でしょうね。赤槍は赤槍でも、ただの……成り上がり……。………そんなあたしの……最後の、我が儘よ…』

『………』

『………元々無口な白槍はいいとして…黒槍さん、いつもの脳天気っぷりは何処に行ったのよ。………心配しないで。あたしの事はもう……いないと思ってくれて結構よ。………赤がいなくったって……白黒で充分だから…』

『………ドール…』

『………………あたしは、赤槍よ。…名前を呼ばないで頂戴………。………じゃないと』













『………またここに…帰りたくなるでしょう………………馬鹿ね』
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