亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
―――まさか。嘘だ。
あの無表情の何処に、笑顔の要素が潜んでいたのだろうか。
笑っている様には全然見えなかったが…。
「本当だよ―!リルリル、凄く嬉しそう!ニコニコ―!」
…と、言った途端、ルウナは「ていやぁー!」と、ナイトキャップをアレクセイに投げ付け、踵を返して走り出した。
………不意打ちですかルウナ様!?、と叫びながら慌てて追い掛けるアレクセイの足音を聞きながら、ダリルは階上へ歩を進める。
大した事じゃない。
全然、大した事じゃないのだけれど。
「……………嬉しそう…ねぇ…。……………………………………嬉しい……のかな…」
…そうなのかもしれない、と二歳児の指摘をあっさりと認める自分に、苦笑した。
“―――ダリルと同じ人を見付けました―。お婆さんなんだけど、会ってみたいわ、だって―”