亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



全部終わったら、何をしよう。

父さんとの旅は、そのまま。でも、今までとは違ってユノがいる。ユノが友達になってくれたから、ユノと遊びたい。
ユノと色んな所に行きたい。

………でも、ユノは王様だから………忙しくて遊んでなんかいられないかもしれない。
たまには、遊んでくれるだろうか。



(………全部終わったら…その後は……………とっても楽しいんだろうな…)

………近いであろう、まだ見ぬ平和な未来を、楽しみに待ち望む。今までとは少しだけ違う、なんだかワクワクする先の自分に早くなりたい。


…早く早く。…父さんとサリッサを捜して。

………ユノをお城に連れていって。























―――ガタッ

















………突如聞こえてきた隣室からの物音は、まどろみかけていたレトの意識を一瞬で覚醒させた。

反射的に剣を握り、ドアに預けていた身体を起こして膝立ちのままドアの向こうに耳を澄ませる。
懐で丸まって寝ていたアルバスは、その反動で床に転がり落ちた。…が、起きる気配は無い。


…聞こえた微かな物音は何てないものかもしれないが、念のため充分に警戒する。
息を殺し、神経を集中させるが…隣室からはユノ以外の気配は感じ取れない。

…やはり何でも無かったのか…と思い始めたその直後。









……ドサッ、という…積雪の上に重い何かが落ちる音と、「…痛っ!?」という…聞き慣れた声が耳に飛び込んできた。




…首を傾げながら、レトは恐る恐る隣室へのドアを開けた。
闇が漏れ出るドアの隙間に顔を覗かせ、室内の様子を窺った。



「………………ユノ…?」

…徐々に視界を覆い尽くしていく暗い室内。
その隅には、ユノが使っている寝台の輪郭がぼんやりと見えた。

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