亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「………待てよ。…俺も行く」
…早足で後を追ってきた黒槍に、白槍はちらりと一瞥して苦笑を浮かべた。
馬が合う二人の長は、揃ってナイフを腰に差し込み、背中に背負った槍を掴んだ。
「………『黒槍のロキ』も揃ってか。敵方を馬鹿にしているようにしか見えないな。………………………………最初から飛ばせ。遅れをとるな」
「―――…上等」
…二人の長が行ってしまった後。
焚火の前から離れない少女は俯いたまま、手元の小石を意味も無く転がし続ける。
その内の赤い小石を指で摘んでしばらく眺めた後…ポツリと、小声で呟いた。
「………オルディオ……これからどうなると思う…?」
…まるで、ただの置物か人形であるかの様に終始無言で座っていた老人。窪んだ目元に収まっている老いた眼球で、ただじっと焚火を見詰めていたオルディオは、少女の問いには何も答えず。
煙管の煙を吹かして、微笑を浮かべた。