亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「―――…予言など、必要…無いからです。………………全てを決めるのは、新しき王だからです。私の、主の、意思だからです。……………それで…世界がどうなろうと、知ったことではないからです」
………予言など。
………二択の答え。どちらを選ぶかによって世界の有無が決まる。
…そんなこと………どうでもいい。
例え、王が間違った答えを選んだとしても。
私は、それが正しいと言うでしょう。
主の意思は、私の意思。
私の望みは、主の望み。
私は、ただ付き従っていくのみ。
それでいいのです。
…それが、最上の喜びだから。
私は………幸せ、なのです。
予言如きが、主の意思を揺るがすなど…許さない。許されない。
………世界が滅ぼうとも…私は構わない。
主がそう望むなら、私は無を受け入れる。
世界が消えて無くなろうとも。
無になることなど、私は怖くない。
怖い筈が無いのです。
…だって。
……だって私は。
私、は。
ノアは。
「―――…………私の望みは………………………………誰にも言えません」