亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
―――…死んでなど、いない。
―――…死ぬ訳がない。
―――…あの子は、生きている。
私には分かる。
あの子は、ちゃんと生きている。
生きて、必ず、城へ向かっている。
或いはもう、城に着いているかもしれない。
そうに違いない。
違いない。
違いない。
………あれは、私の子だ。
………私が育てた、私の子だ。
私の。
名誉も、誇りも、何もかも捨て、何もかも無くした私の。
私の、ただ一つの、宝。
あの子が、死ぬ筈がない。
…あの子は狩人としての腕はあるが………弱い。
心が、弱い。
優し過ぎて、弱い。
………また、泣いているかもしれない。
早く行ってあげなければ。
泣いているかも、しれない。
………あの子は、私の子。
私の子だ。
私の、子。
私と
彼女の。
「―――……アシュメリア…」