群青
『この学校で、スクールカウンセリングをすることになりました』
どよめく体育館。
『そんな大袈裟なものじゃあありませんよ。靴箱横の部屋で、ちょっとした相談にのるだけです』
『あぁ、あの謎の部屋か。』
『知らない間にできてた、あそこ?』
生徒の間でそんな囁き声が走る。
あれのことか。
今朝クラスの奴らが噂してたっけ。
『僕の話を聞いてくれるかな』
怒鳴り声じゃない、むしろ冷静な声で静まり返る体育館。
こんなの、はじめてだ。
『僕の名前からとって、群青の部屋という名前にしました』
『お前の名前工藤だろ』
なんて言う生徒は、ひとりもいなかった。
『みなさん、気軽に来てくださいね』
返事をする生徒も、ひとりもいなかった。