群青
連れてこられたのは、群青の部屋の前。
『驚かないのかな?』
まぁ、途中から予想してたしな。
『さすがだな〜君は。さぁ入った入った』
入り口で突っ立っていると、背中を押される。
何がはじまるんだ?
『まぁまぁ、とりあえず座りなさい』
そう言われて、新しい椅子に腰掛ける。
まだふかふかで、座りにくい。
『仕方ないさ、そのうち潰れるだろう。そんなことより‥─』
いよいよ本題にはいるんだな。
『そんなに身構えなくてもいいよ。矢野くんには、僕の助手になって‥─』
『お断りします』
即答で返す。
何を言われても、断るつもりだった。
関わりたくない。
『どうしても、やってもらえないのかな?』
はい、と言いかけてあげた顔が、奴の目と重なった。
笑っていない瞳。
断れないことを意味する、冷たい瞳。