一緒
①
「一緒に死にたい」
◇◇◇◇◇◇◇◇
たった3時間ほど前、荷物の用意もさせてもらえずに財布とケータイだけを持たされそれぞれ実家を追い出された俺と慶介(ケイスケ)
原因はカミングアウト
幼馴染で学年ひとつ上の慶介とひとつ下で25歳の俺は高校の頃からいわゆる恋人同士で、社会人になった今もその関係が続いている
彼女の一人も家に連れて来ない。勤める会社も違うし幼馴染とはいえ慶介の家が引っ越してからは近所というわけでもないのに休み毎に二人で過ごす
いくらなんでも仲が良すぎる。
どうせ親も少なからず怪しんでいた
・・・それは、俺と慶介が後ろめたさから勝手に思い込んでいたのかもしれないけど、近頃母親の口癖は
「男の子とばっかり遊んでる年じゃないでしょう」
だった。
普通は、高校の頃あたりになら言われることで、この年になって親から交友関係に口を出される方が何かを意味していると思った
―――男と・・・、慶介と付き合ってる
そのときの両親の顔は、たぶんしばらく。もしかしたら一生忘れないかもしれない
「ヒデェな。殴られた?」
慶介の口の端に触れて言うと、痛いのか少し顔をしかめられた
「大したことない」
◇◇◇◇◇◇◇◇
たった3時間ほど前、荷物の用意もさせてもらえずに財布とケータイだけを持たされそれぞれ実家を追い出された俺と慶介(ケイスケ)
原因はカミングアウト
幼馴染で学年ひとつ上の慶介とひとつ下で25歳の俺は高校の頃からいわゆる恋人同士で、社会人になった今もその関係が続いている
彼女の一人も家に連れて来ない。勤める会社も違うし幼馴染とはいえ慶介の家が引っ越してからは近所というわけでもないのに休み毎に二人で過ごす
いくらなんでも仲が良すぎる。
どうせ親も少なからず怪しんでいた
・・・それは、俺と慶介が後ろめたさから勝手に思い込んでいたのかもしれないけど、近頃母親の口癖は
「男の子とばっかり遊んでる年じゃないでしょう」
だった。
普通は、高校の頃あたりになら言われることで、この年になって親から交友関係に口を出される方が何かを意味していると思った
―――男と・・・、慶介と付き合ってる
そのときの両親の顔は、たぶんしばらく。もしかしたら一生忘れないかもしれない
「ヒデェな。殴られた?」
慶介の口の端に触れて言うと、痛いのか少し顔をしかめられた
「大したことない」