一緒

逆に訊かれて、俺は手元にあった枕をギュっと掴んだ

慶介の顔からはいつの間にか穏やかな笑顔が消えていた

「・・・俺は」

言葉が続かない
だって知らなかった。
基本的には周りには俺たちの関係は隠してる
高校の時の、本当にわずかな仲のいい友達は知っているけど気にせず今も俺や慶介と飲みに行ったりして

初めて、男と付き合ってることで壁にぶつかったんだ


慶介が俺の隣に腰を下ろしてガチガチに握り込んだ俺の手に、包むように自分の手を乗せて置く

「俺と別れて家に戻りたいか?」

「・・・!ちが・・・っ」

慶介の言葉に、弾かれたように顔を上げてた

そうじゃないんだ、って言う為に

慶介にはそういう意味に取れたんだろうか
・・・いや、そう取られても文句は言えない

「・・・理不尽だと思ったんだよ。男と付き合ってるってだけで家追い出されたり、・・・おまえなんて殴られてるし」

結婚しないのがそんなに悪いのか
子供を持たない将来がそんなに暗いのか

俺らは悪いことでもしてんのか
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