一緒
自分の目が、頬が、涙でぐちゃぐちゃで見苦しいのも忘れて顔を上げると、慶介の顔は真剣だった

「俺は誠一と一緒に死にたい」

もう一度、ハッキリした口調で言われて息を呑む

――死にたい?

え。だっておまえはさっきまで笑ってたし風呂だの飯だのって、余裕だったじゃねえか

真意を探る目でじっと慶介を見る俺に、たじろぎもせず
目も逸らさずに
慶介は淡々とした口調で言う

「こんなツライ想いをこれからもしていくなら。・・・もしもそれでおまえが離れていく時や壊れてしまう時がくるなら、俺は誠一と死んでしまいたい」


だからなのか
こうなったなら死んでもかまわないつもりで金も荷物も
明日以降に必要な物なんか準備しなかったのか?

「慶・・・介」

言葉が見つからない

男同士でラブホテルで心中?
馬鹿げてる。いくらなんでも
目もあてられない

だけど俺は、その狂気とも言える、慶介の言葉で
プロポーズでもされた女のような気分に震えた

俺の方こそ狂ってる
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