ツインの絆
「でも父さん、孝輔のことは俺が、俺が広志さんの助けを借りて絶対に修復するから。
孝輔、すごく後悔している。仕方が無いよ。
俺たちの年齢は異性に興味があって当たり前だから。
俺はガールフレンドという特定の女はいないけど、共学だから学校に行けば嫌でも女を見るし話もする。
だけど孝輔は女生徒もいくらかはいるらしいけ,ど話をするタイプではないし…
中学だってすぐ母さんが迎えに来て…
いじめられる事はあっても女の子と仲良くするなんてなかったから… 」
父が表に出れば孝輔がどれほど気にすることか。
大輔は慌てて,今までの自分と孝輔の間にあった事を話した。
今までのように自分が孝輔を… と言って父を安心させたかった。
「いじめ… 孝輔は学校でいじめられていたのか。」
孝輔の学校での生活は全く感知していなかったように父は、いじめ、と言う言葉に反応している。
実は… 今でこそ野崎組のかしら、と言われているが、孝太は中学時代、
ふしだらな母のせいで、かなり頻繁に級友達からからかわれていた。
その頃は安城で,祖父母と母の四人暮らしだったが、いくら祖父に怒鳴られようと、
母の生活態度は改める事無く,勝手気ままで荒んでいた。
そして孝太はおとなしい性格で、自信の無い少年だった.
級友からの、からかいやさげすみの言葉に耐え切れず、登校拒否までしてしまった。
結局は見かねた祖父が学校へ怒鳴り込み… 何となくまた登校するようになったが、
孝太にとって、中学も高校も楽しいものではなかった。
だから、子ども達が目標を持って、進学している姿を見るのは何よりも嬉しい事だった。
それなのに孝輔がいじめられていた。
父親として知らなかったという事は情け無い話、決して聞き流して良い話ではない。