ツインの絆

「孝輔、まずこの水を飲むのだ。苦しいかもしれないが何度でも飲むのだよ。」



孝輔を近くの長いすに移し、水の入ったコップを渡し、
広志は氷水の中にタオルを浸した。


そしてきつく絞り、孝輔の脂汗が溢れている顔を拭き、
また浸して、今度は首筋にまいている。


広志を信頼している孝輔は、言われるままに必死の思いで水を流し込んでいる。


しかし、孝輔が感じている渇きは、水を飲んで治まる渇きとは異なっていた。


それでも広志は、孝輔がコップを空にすると何度でも水を入れて飲むように勧めている。




「広志さん… 苦しいよ。もう飲めない… 」



しばらくして、孝輔は広志に喘ぐように言った。


吹き出た汗で、髪はシャンプーをした後のようにびっしょり濡れている。




「うん、そうだね。気分はどうだい。少しは楽になったかい。」




そう言われた孝輔は改めて自分の調子を思い起こした。


水を飲み過ぎて気分が悪いが… あの言葉では言い表せないような渇きが薄らいでいる。


いや、このまま消えそうだ。


治った、治ったのか。


孝輔は泣き笑いのような顔を広志に向けた。




「楽になったようだね。じゃあ、シャワーを浴びておいで。
台所の奥にシャワー室があるから。着替えは孝輔が出るまでに揃えておくよ。」







「これからもこういうことは度々起こると思う。時間や期間は分らないけど… 
だからここに居る間は僕が、家にいる時は大ちゃんに手助けしてもらうのだ。
いいかい。大ちゃんには僕から要領を話しておくよ。」



「はい… あの… どのぐらい続くのですか。」



確かに今回は何とか無事に治まったが、度々起こる、と言われた孝輔は
不安でたまらない。


こんな事がいつまでも起こったら… 

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