ツインの絆

和也は4歳上の山根悟を兄以上に慕っている。


悟が在籍していた小学一・二年生は素直に登校したが、悟が中学生になってからは、まともに学校へは行かなくなっていた。


もちろん幼稚園も初めの日に通っただけで終わっていた。


それでも平気な顔で過ごしていた和也を、四歳下の孝輔は畏敬の念で見ていた。


そして今、父の言葉から幼い頃の和也の姿を思い出し、自分もやってみよう、と思っている。


自分の中ではそう言う事はズル休みに入る意味だが… 真面目な孝輔にとってはすごい冒険のようにも感じられている。


大輔はチラッと孝輔を見たが… 何も言わずに飯を食べている。




「大輔、剣道の試合はいつだ。日曜日なら父ちゃん、皆を連れて見に行くからな。この前も高杉さんがお前を褒めていた。お前、筋が良いらしいな。」



父親の味を知らずに育った孝太は、自分が父親になった今、なるべく機会があれば子ども達と会話をしようと思っている。


話している内に子ども達の本心が伝わり、それを受け止めるのが孝太の父親としての務めだと思っている。


二人が幼児の頃はいつも自分の帰りを待ち、姿が見えるとすぐ手を繋いで風呂場まで直行、そしてゆっくりと風呂場で遊んで飯を食っていた。


しかし子供が成長するとそれもなくなり… そして今こうして皆で食卓を囲むことが戻り、また話も弾むようになって来ている。


妻の死で、確かに家族の全員がそれぞれ苦い思いをしたが… 今の孝太にとってこの時間が一番楽しみなのだ。

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