ツインの絆

そしてそのあきらと広志は… もうする事は一つだ。


橋本商事は三階建てのビルディング。


どうやら一階には下っぱがたむろしているようだ。



「何だ、お前たちは。」


「殴り込みか。」


「相手は二人だ、やってしまえ。」



と、二人は罵声の飛び交う中へと突進した。


警察官が見ていないから良かったものの、その行動はまさに殴り込みだ。


とにかくあきらのやり方は、テレビを見ながら女といちゃついていた十数人いる社員と言う名のチンピラたちの中に飛び込み、問答無用、とばかりに暴れまわる。


こんな奴らとまともな会話をすれば口が穢れる、と言うかのように
いきなり襲い掛かっている。


男たちも木刀やチェーン、ナイフなどを振り回して応戦しているが… 


いつもはそんなあきらを見れば止めている広志だが、今回ばかりは別人だ。


あきらとは雰囲気が異なるが、まさに鋭い動きをして、
あきらに負けないほど相手に冷たい恐怖を与えている。


大輔、孝輔と襲われたことの仕返しだ
と言うように攻撃の手を緩めない。


空手の技を身につけている広志の動きは、
まるで形が決っている踊りのようにきれいだ。


何も分らない第三者の目には、道場で教えられたとおりの華麗な動きをしているだけのように見えるが、

実際には、広志の手や足に触れた者は申し合わせたように倒れている。


微力に見えても手足の威力は並外れている。


ただ体力勝負の長期戦は… 広志は自分の事を熟知している。

     
< 140 / 205 >

この作品をシェア

pagetop