ツインの絆

「どうした、うるさいぞ。」



二階から幹部らしい男が顔を出し… 
様子を見て驚き、慌てて二階へ逆戻りした。

そしてすぐに手に刀を握って現われた。


後には三人の、どれも一癖ありそうな面構えの男たちが付いている。



「広志、気をつけろ。」


「あきら兄ちゃんこそ。そこの木刀を投げて。」



広志は刀を握っている男を意識して、
チンピラが振りかざしていた木刀に目をつけた。



「馬鹿、木刀よりこっちを使え。」



そう言ってあきらは広志に、
相手が真剣刀を持っているのならこっちはチェーンだ、と、
既に伸びている男たちが持っていたチェーンを投げた。


が、広志はチェーンなど触れた事も無かったから、変なところで戸惑っている。



「いいか、広志、こいつの使い方はこうだ。」



と言いながらあきらは刀を構えている男を睨みつけ、
動きが起こったその瞬間に、
身をかわしながらそのチェーンを大きく振り回して刀に巻きつけた。


そして、その一瞬たじろいだ男のわき腹辺りにすかさず足蹴りをいれ、
よろめいた時には次のパンチを食らわしていた。


さすがにあきらの動きは機敏で力強く迫力がある。


男はそのまま尻餅を付いたように床に倒れこみ… 
他の男たちもいつの間にかへたり込んでいる。



「おい、ヘロインがあるだろ。どこだ。どこから仕入れているのだ。
それらを全部出せ。」



二階にいた男たちは幹部だろう,と推測して
あきらは男たちを恫喝しながらヘロインの事を訊いている。



「それから常用者リストもあるでしょう。それも出してください。」



広志もあきらが言い忘れている事を付けたしている。
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