ツインの絆
「それよりお前たちこそ早く戻れ。
俺は明日、一日仕事を休む事にする。
そうなればお前たちの存在は欠かせない。頼むぞ。

ああ、それからな、広志。お前は気にしているようだが、
結果的にはこれで良かったのだぞ。
孝輔はすぐに胃の洗浄などもしてもらったからヘロインの残留も少なくすんだ。
お前が今日やってくれた水攻勢、あれが良かったらしい。
二日ほどで退院でき、その後も気分が悪くなった時は多量の水を飲ませ、
その後薬を飲ませれば良いようだ。

それほど長くはかからないらしい。
必要ないかも知れないとも言われた。」



と、孝太は必要以上に自分を責める広志に優しい眼差しで話している。


孝輔がこれだけで済んだと言うことは広志の力に他ならない。




「それから、孝輔はこうして警察の知るところとなったから自ずと学校にも連絡が行く。多分退学になるだろう。
俺としては元々名古屋まで通うことは勧めたくは無かった。

が、お前たちも知っているように、孝輔は昔から好みが千草に似ていた。
バイオリンにはあの学校が良いらしい。
受験を頑張ってやっと入れた学校だから、
これからの孝輔の事を考えると可哀そうだが… 
こういうことになった以上仕方が無い。

それでだ、広志、
もし孝輔が何か相談するような事があれば真剣に考えてやって欲しい。
俺は仕事のことなら分かるが… 」



ここに来て、大輔と孝輔が広志に好意を持ち、信頼しているのがわかった。


孝太は、広志なら安心出来る、と親らしい言葉を出している。


仕事の事なら祖父・源次郎譲りと言われ、
自分でもいくらかの自信はあるが、学校の事は、
特に孝輔のような音楽関係の学校などは皆目分からない。


その事を含めた気持ちだった。



「はい。僕もこの機会に孝ちゃんは岡崎の学校に代わったほうが良いと思います。
バイオリンが好きなのは分りますが… 

勿論僕に助言を求めてくれたら真剣に考えます。

おじさん、ありがとうございます。
僕、大輔や孝輔がとても好きです。
和ちゃんとは違いますが、それでも大好きです。」



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