ツインの絆

そう言えば… 学校が終われば、塾とバイオリンで明け暮れていた孝輔こそ友達らしいものはいなかった。


それでも大輔がいたからその寂しさを感じずにいた。


が、ただ一人、この早川は教室の中で孝輔が一人でいると, どうでも良い事を言っては話しかけて来た。


もっともその時の孝輔は、うるさい奴だと思い、ろくに返事もしなかった。


友達が欲しい… いつもひょうきんだった早川の口から出た言葉に,孝輔は改めて驚いたが… 何となく状況は理解出来る。




「昨日、ちょっと… まだ腕が痛くてバイオリンが弾けないから学校を休んだ。」



「やっぱり何かあったのだな。まだ狙われているのか。」




どうやら、実はバイオリンなどを持った孝輔が、おとなしい坊ちゃんだと目をつけられ恐喝された、と確信したようだ。


だから,今日はそれが怖くて学校を休んだのだろう。


孝輔よりも背の低い早川が、困っているのなら自分に話せ、何とかしてやる, と言う様な顔をして孝輔を見ている。




「うちは年寄りが二人いるから,学校を休んでも家でのんびり出来ない。分るだろ。心配してくれるのは嬉しいけど… 」




孝輔は早川の興味の矛先を変えようと、少しずらしたところを話している。


昨日の事は話したくなかった。
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