ツインの絆

しかし、確かにここ数日の、いや先週、腕を痛めて学校を休んでいる頃から様子がおかしかった。


自分を避けるようにもなっている。


いつもの孝輔では無いから戸惑っていたが… この木村が面白おかしく話をでっち上げることは無い。


多分本当の事だろう。


今日練習中に突然感じたあの無気力感、やはりあの時、孝輔に何か変化が起こっていたのかも知れない。


自分達二人の間には不思議な力が流れている。


だから、何かいつもと違うことが起こると、その力が顔を出すのだ… 今日こそは絶対に孝輔と話をしなくては。


大輔は木村たちに、自分の家族の問題だから騒がないで欲しい、と口止めをして家路についた.

ラブホテル、と言う言葉から想像することはただ一つだ。


孝輔が、あの孝輔がそんな事をしているとは信じたくないし、アキと言う女の性格は、聞かされたからどんな女かは想像出来る。


ラブホテルに入った事も無いが… ドラマなどで何となく様子は分る。


ラブホテル… 母の事故死以来、嫌というほど耳にし、どれだけ嫌悪感を抱いた言葉か。


それを孝輔は忘れてしまったのか。


家に着くまで孝輔の顔が大輔の頭を支配し、怒りと不安が一つに固まり、今にも炸裂するような恐怖を覚えている。


が、そんな事を,毎日一生懸命働いている父や年老いた祖母たちに悟られてはいけない。


このことは自分が何とかすべき問題だ。

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