ツインの絆
母の死以来,姉の真理子も生活を乱している。
母に裏切られたと言う気持を抱いたのは分るが… 噂では母以上に男関係にだらしなくなっているらしい。
が、姉のことまで気にしても仕方が無い。
大体姉も剣道を始めた自分の事は無関心だった。
母が気に入っていた孝輔には良い姉の姿を見せていたが、兄である長男の和也を見下し、孝輔と一緒にいても、俺はまるで見えていないかのように無視されていた。
もっとも、剣道に夢中だった俺も、文句を言われるより良かったが… だから俺にとっては孝輔だけが本当の兄弟だ。
孝輔だけは… 本当にそんな女に関っているのなら何とかしなくてはならない。
きっと孝輔は、自分が付き合っている女がどんな女なのか知らないのだ。
女に免疫の無い孝輔だから…
大輔も特定のガールフレンドがいるわけではないが、性格の良さから気軽に誰とでも話す。
とにかく剣道に明け暮れているから,家にまで呼ぶほどの友達はいないが、学校内ではそれなりに、グループだが、気持ちよく話をしている数人の女子はいる。
家族には見せないが、バレンタインのチョコレートもそれなりに貰っていた。
岡崎界隈の噂話にも何となく通じるところもあり、真理子の噂も苦々しく聞いていた。
もっとも,河村アキのことは不覚にも知らなかった。
「孝輔、ちょっと部屋へ行っても良いか。」
夕食が終り父と話していた大輔、孝輔が立ち上がったのを見て声を掛けた。