ツインの絆
「別に干渉するつもりは無いけど… 最近の孝輔は変わった。多分ガールフレンド が出来たからだと思う。」
大輔の話の途中で、孝輔は怒ったような顔をしてヒステリックに声を出した。
「そういうのを干渉って言うのではないのか。
僕にガールフレンドが出来たらおかしいと言うのか。放っておいてくれ。」
いつも兄貴面をしていたのに、気がつけば弟の方にガールフレンドが出来ていた。
それで何か言いたくなって来たのだろう。孝輔の顔にはそんな気持も現われている。
「孝輔、そんな風に取るなよ。」
孝輔の興奮した言い方に戸惑い,しばらくはうまい言葉が浮かばなかった大輔だ.
「俺は,孝輔にガールフレンドが出来たからと言ってひがむ事は無いよ。
むしろ喜ぶぐらいだ。
だけど… 今日の稽古中に感じたあの虚無感はどう考えても心配だ。
本当に何も変った事は無かったのか。
俺、このところ孝輔のことが訳も無く心配だったから、だからあんな事になったのだと思う。」
今日の午後… その頃ならアキとラブホテルで、あのキャンデーを口にして,自分ではないような不思議な気持になっていた頃だ。
何も大輔の体に痛みを感じさせるようなことはしていない。
孝輔は大輔を軽蔑するような眼差しで見つめている。
「何も無い。もういいだろ。出て行ってくれないか。」
孝輔はもう話は終わった、と言うようにまた背を向けた。
「孝輔… こんな事は言いたくは無いけど、あの河村アキは駄目だ。
孝輔とは合わない。」
大輔のその言葉に、孝輔は立ち上がって、額に青筋を浮かべたような顔をして睨んだ。
どう考えても必要以上に興奮している。