ツインの絆

その頃、やはり毎晩のようにその辺りをうろついていた真理子と出会った。


しばらくは5人ほどで連れ立っていたが、いつの間にか真理子は、どこか荒んだところがあり、孤独の影も感じられる洋介に興味を持ち、愛すようになっていた。


まだ18歳になったばかりの頃である。


そして真理子は、高校を卒業したら同棲しようと考えていたが、洋介は、真理子が二十歳になったら正式に結婚を申し込みに家に行く、と言い、それまでは深夜のデートで終わっていた。


そんなことも、母の死以来自堕落な生活をしていろいろな男と遊んで来た真理子は、新鮮な感動を感じた。


もっとも若い男女のことだから肉体関係はあったのだが… 

何をしても心が寒かった真理子にとって、17歳で暴走族に入り、悪い事を承知で暴れ回り、挙句に少年院、という過去を持つ洋介、

不思議と一緒にいると温かさを感じられた。


決して美男子ではなく、無口なところも親しみが感じられ、そしてその筋肉質の体も安定感に繋がり、気に入っていた。



しかし、どうした事か三ヶ月前に急に姿をくらましてしまった。


毎晩のように逢瀬を楽しんでいたのに、ある晩を境にぷっつりと姿を現さなくなった。


アパートは勿論、岩津の工場へも行ってみたが無断欠勤のまま姿は無かった。


どこか遠出のツーリングでも行ったのか、と思っても見たが、何も言わずに出かけるのが腑に落ちなかった。


一応友達にも声を掛けていたが、何の収穫もなく一か月が過ぎた。


逃げられたと思う気はさらさら無かった真理子だが、その反面、裏切られた気持と、恋しく思う気持が交差して、自分が惨めだった。


しかし、プライドの高い性格なのか、人前では何事も無かったように、また不特定多数と遊び始め… 


そんな時にホストクラブへ行き琢磨を見た。

     
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