ツインの絆
自分を放って、どこで何をしているのか分らない洋介への仕返しの気持から、洋介とは全く容姿も雰囲気も異なる、スマートな大学生兼ホストの琢磨のところへ転がり込む事にした。
真理子のように、世をすねて憚るものは何も無い、と思っている若い女は、無鉄砲な事を平気でするものだ。
おまけに真理子は色白でお嬢さんと言うイメージが強い。
顔立ちや物腰からも育ちの良さが覗えるから、年頃の男は大抵真理子の希望を聞くようになる。
それが真理子を増長させる事にもなってしまうのだ。
とにかく真理子の行動は大胆なところが多い。
だから琢磨が、出て行け、と怒鳴っても、絶対に追い出す事は出来ない、と高をくくっている真理子なのだ。
しかし、最近生理が来ないのが気になっている。
他に体調の変化は無いが… ひょっとしたら妊娠。
妊娠しても構わないが… 父親は誰だろう。
琢磨か、それとも洋介か。いや、琢磨ならまだ早い。
そうか、洋介だ。
普通なら18歳の少女が妊娠したと分れば不安が先走るものだが、この真理子の感覚は少し異なっている。
自分は今でも洋介を愛している。
洋介を見つけたら子供の事を話して、二度と自分から離れないように言わなければ…
そう思うだけで楽しくなっている真理子だった。
まさに世間知らずとしか言いようの無い感覚だが、本人は至って真面目に考えていた。
そして翌日、真理子は希望通り、琢磨にイタリアン・レストランへ連れて行ってもらい、
その直後に家に帰る、と言い出した。