ツインの絆

「京子、どうしたの。その白骨死体がどうだと言うの。
まさか… 京子、それが洋介だと言うの。」



京子の様子から真理子の脳裏にはそんな言葉が浮かんでいた。


それほどに京子の様子が不自然だった。




「ニュースではその白骨死体、推定年齢は二十代男性、埋まっていたのは蓬莱山中の林の中。近くにはオートバイも一緒に埋もれていたから運転を誤って墜落し、そのまま今まで見つからなかったのだろうって言っていた。
その上に獣道みたいな細い道路,無謀にもそんな所にオートバイを乗り入れて… 
白骨化していたけど、推定では三か月ぐらい前に事故に遭っただろうって。
そして携帯のストラップにピアノの形をしたものが付いていたって。
真理子がお揃いで買った物ではないかなあ、と思ったの。

多分今頃警察は,身元を探し出しているかも知れない。どうして鳳来山などに行ったのかは分らないけど… 
洋介もその頃から行方が分からなくなっていたのでしょ。」




京子は遠慮がちに真理子を見つめながら、自分の得た情報を話している。



「そんな… どうして洋介が鳳来山まで一人で行くのよ。」


「分らないわ。洋介とは限らないけど… 」



真理子の顔は見る見るうちに蒼ざめ、立っているのも辛そうな表情になっている。


京子は慌てて真理子を近くのイスに座らせた。



「でも、洋介の親は豊橋の方に住んでいたのでしょ。」


「豊川。」




そうか… あの頃、私が二十歳になったら結婚しようと言い始めた頃だから、洋介も家族に話そうと思ったかも知れない。


それで… そして訳は分からないが、その帰りに鳳来山の方へオートバイを走らせて… きっと暗かったから運転を誤ったのだ。


そうか、最後に会った時、ちょっと野暮用がある、と、いつもより早めに別れた。

あれから豊川へ行ったのかも知れない。」


真理子は、その発見された遺体は洋介かも知れない、という確信に似たものを感じ、しばらくは動けなかった。

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