ツインの絆
その時、草食動物のように地面に座り込んでいた孝輔が声を発し男の足に食らいついた。
男も急に飛び出して来た、竹刀を手にしている高校生の大輔しか眼中に無かったようだ。
孝輔の横を通りながら大輔しか見ていなかった。
孝輔の声で振り向いた大輔は、そのまま竹刀を振りかざし、バランスを崩した男の手首を、小手、と鋭い気合いと共に打ち、鉄パイプを払い落とし、続けざまに男の面を打ち据えている。
その様子を見た中の男は、慌てて部屋から飛び出し、竹刀で打たれた痛みでふらついている二人と共に逃げ去った。
「孝輔、右腕、大丈夫か。あいつらにやられたのだろう。」
「うん… どうして分った。」
「俺の腕がいきなり痛くなって、不安な気持になり、何を言っているのかは分らなかったけど孝輔の声まで聞こえた。」
と、大輔は自分がここに来た経緯を話している。
「大輔、それって… 」
「ああ、やっぱり俺たちはただの双子ではないよ。この場所だって… 信じられないけど、あの時道子おばさんが言った様に、俺たちの絆って普通じゃあないみたいだ。」
二人は中に女子高生がいるのも忘れて、自分たちの存在の確かさを話し合っている。