ツインの絆
「あの… 危ないところを… 」
その声で二人はやっと自分たちだけではない事を思い出した。
「孝輔の彼女。」
大輔は小さな声で孝輔に囁いた。
「違うよ。電車の中で… 」
母の死以来、16歳と言う思春期にも関らず二人とも、いや、正確には孝輔だろうが、異性に興味を持たなくなっていた。
だからこんな場合、その女子高生の危機を救った事にもなるのだから、まず彼女の事を気遣うのが普通なのだが、二人で二人だけが通じる話に入っていた。
女子高生にとっては、自分の恥ずかしい場面を無かったことのように、二人の話に盛り上がってくれれば有難いような気持もあるが… 何となく気が抜けてしまった。
「あの… 私は坂上春香、知立の桜ヶ丘女子高の二年生です。」
春香は制服や雰囲気は異なるが、同じ顔の高校生が同じように全く他人的な目つきで、声をかけた自分を見ているから、とにかく自己紹介した。
それで二人も慌てて自己紹介をした。
孝輔は名古屋からの電車の中で、三人の男が春香になにやら囁くようにくっついているところを見た。
そして泣きそうな顔をしている春香と目が合って…
成り行きで電車を降りた春香に友達の振りをして話しかけたのだが…
すっかりその気になっていた無頼の男たちは、そのまま孝輔も空き家に連れ込み、春香は中へ、孝輔は庭先で、と言うことになったのだ。
その声で二人はやっと自分たちだけではない事を思い出した。
「孝輔の彼女。」
大輔は小さな声で孝輔に囁いた。
「違うよ。電車の中で… 」
母の死以来、16歳と言う思春期にも関らず二人とも、いや、正確には孝輔だろうが、異性に興味を持たなくなっていた。
だからこんな場合、その女子高生の危機を救った事にもなるのだから、まず彼女の事を気遣うのが普通なのだが、二人で二人だけが通じる話に入っていた。
女子高生にとっては、自分の恥ずかしい場面を無かったことのように、二人の話に盛り上がってくれれば有難いような気持もあるが… 何となく気が抜けてしまった。
「あの… 私は坂上春香、知立の桜ヶ丘女子高の二年生です。」
春香は制服や雰囲気は異なるが、同じ顔の高校生が同じように全く他人的な目つきで、声をかけた自分を見ているから、とにかく自己紹介した。
それで二人も慌てて自己紹介をした。
孝輔は名古屋からの電車の中で、三人の男が春香になにやら囁くようにくっついているところを見た。
そして泣きそうな顔をしている春香と目が合って…
成り行きで電車を降りた春香に友達の振りをして話しかけたのだが…
すっかりその気になっていた無頼の男たちは、そのまま孝輔も空き家に連れ込み、春香は中へ、孝輔は庭先で、と言うことになったのだ。