ツインの絆
知らぬ人は、野崎組の三男となれば、荒くれ男にも慣れているであろうと思われるかも知れないが、野崎組はやくざとは無縁のただのとび職、ナンバー・2の山根正一を初め、ほとんどの職人が仕事一途でおとなしい性格をしている。
もちろん、孝太は頭としての威厳も備わってきているが… 皆仕事となればその本領を発揮するのだが、喧嘩などやった事の無い職人の集まりだ。
例外は中学時代に暴走族に入っていたと言う水島あきら… 16歳の終わりに、わざと孝太にぶつかり金を巻き上げようとしていたところを、反対に恐ろしい目つきで睨まれ、すっかりほれ込み【押し掛けとび見習い第一号】になったと言ういわく付き。
このあきらだけは正真正銘喧嘩なれしている暴れん坊だ。
しかし、確かに喧嘩早くて強いが今は36歳。
アメリカ人との間に出来た子供を、父親の水島健一郎と共に育てているから、以前のような無鉄砲なことはしない。
今は代わりに、見かけは大人しいが、いざとなれば人格が変わるような館山広志がいる。