世界で1番アイシテル
てな訳でいまの状況を稜に伝え
なりちゃんの家まで
稜を連行した。
「………りん。来て。」
コトっとお茶の入った
3人分のコップを机に置いて
なりちゃんが静かに言い放った。
「あ〜〜……うん。」
ヤバい!怒ってるかも!
ビクビクしながらなりちゃんに
ついていくあたし。
怖いよ〜(泣)
「おいっっ!」
「ひゃい!」
稜に声が
届きそうにない部屋まで行くと
なりちゃんが低い声で
怒鳴るから
はい、が
ひゃい、になっちゃった。
ほんと怖いです!
ビクビクして下を向いていると
ズズっと鼻をすする音がした。
ぱっと顔を上げた
あたしの目に映ったなりちゃんは
沢山の涙を目に溜めながら
口を開いた。
「なんで、なんで、なんで…
なんで稜、
連れてくんのよ〜〜…っ。」
突然、うえーん、と
泣き出すなりちゃんに
戸惑いながら
「…あのね、全部全部
なりちゃんの勘違いなの。
あたしの口からは言えないけど
稜に聞いたらすっきりするよ?
だから逃げないで聞いてみて?」
ちょっと大人ぶって言ってみた。
するとなりちゃんは
泣きながらキョトンとした後
すくっと立って涙を拭いて
「…ばか。何気取ってんのよ。
でも…ありがと。行ってくる。」
そう言って稜のもとに向かった。
あのね、なりちゃん?
ほんとに全部
なりちゃんの勘違いだよ。
あたし、全部聞いたもん。
昨日の女の人がお姉ちゃんだった
ってコト以外も全部、
先に聞いちゃったの。
きっとなりちゃんは
幸せの涙を流して
あの部屋から出てくるよ……
ね………?
あたしはなりちゃんの
見えない背中を
ジッと見つめてそう願った。