世界で1番アイシテル



「は…………?」

体全身を使って
絞り出した言葉。


『抱いて』


その意味はきちんと
理解してる。

冗談じゃない。
嘘じゃない。


あたしは翼を求めてる。
求めてるんだよ……?



「なんなんだよ……、
意味、わかんねぇ。」



翼が離れてく。

もう一度翼は、
あたしを抱きしめて
くれるかな?

送ってくれるかな?

あたしの家に泊まっていって、
一緒に買い物して、
ご飯も作って、
『やっぱりりんは最高!』って
言ってくれるのかな?





今ここで、
このまま[サヨナラ]したら
何もかも残らないんでしょう?


けど、抱いてくれても……
あたし達が愛し合っても……
この関係が
崩れるのは目に見えてて
触れ合うのはこれが
最後になる。


「最後が絶対なら
抱いてよ………。」


「………わかった。」



フワッ

体が宙に浮いた。

すぐ、翼に抱えられてるって
わかった。

いつもなら、こんな事が
死ぬほど嬉しくて仕方ないのに
今は、涙しか出てこない。


嬉しくないよ……。


寂しいよ………翼………。





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