君に幸せの唄を奏でよう。
「この前は、よくもやってくれたな」
男が、睨みながら言ってきた。
「…あんた達がしつこかったからよ」
ギリっ。
「--ッ!!」
両腕に痛みが走った。男が力いっぱいに掴んできた。
「言葉に気をつけろ。自分の立場わかってる?」
「唄ちゃんを離してよッ!」
佳奈が男の腕に掴みかかった。
「佳奈ッ!後ろッ!」
「んーーー?!」
もう1人の男が佳奈の口を手で塞いだ。
「佳奈を離しなさいよッ!」
あたしは、佳奈を捕まえている男に言った。
「君、気が強いね。そうだ…」
男がニヤけながら言った。
なんだろう……嫌な予感がする。
「君たちを必死に守ろうとしている彼らの所に連れて行こうよ」
「なッ!」
「いいな。連れて行こう」
あたし達は、捕まったまま亮太たちの所に連れ戻された。
「唄ッ?!」
「相原ッ?!」
2人は、ボロボロだった。
「亮太、あんた…」
亮太は、口の端を切って少し血が出ていた。
「高橋たちを離せ」
浩ちゃんが、男に睨みながら言った。
「そんな態度とっていいんだ?この子たちがどうなってもいいの?」
こいつ…!あたし達を使って……!
「…くそッ!」
「ごめん。高橋、相原」
2人は、男たちの条件をのんだ。
「じゃあ、早速」
さっきまで、浩ちゃんとやり合っていた男が近づいた。
バコッ!
「ぅ……!」
男が、浩ちゃんの腹部に蹴りを入れた。
「浩ちゃんッ!」
浩ちゃんは、地面に疼(うず)くまった。
「浩平ッ!」
「自分の心配したらどうだ?」
「---ッ!」
男が、亮太の腹部に拳を入れた。
「亮太ッ!」
亮太は、腹部を抑えながらその場にしゃがみ込んだ。