君に幸せの唄を奏でよう。
【奏 Side】
「はぁ……」
なにやってんだよ…俺…。
本当は、抜糸をしたのを伝えるだけだった。だけど……
『うん…』
まだ、あいつが気にしてるのが分かった。
だから、俺は強引に話を振った。
文化祭の話になった時、俺はてっきり、あいつが「行きたい!」って、言ってくると思った。
けど…
『……そっか。頑張ってね』
その言葉を聞き、何故か残念がる俺がいた。
だから、俺は……あいつを大学祭に誘おうとした。
あいつの笑顔が見たくて---。
………ダメだ。あいつをまた傷つけてしまう……。
初めて会った時といい、ケガをした時といい、傷つけてしまった。
しかも、自分勝手な俺のせいで。
今日だって、俺が中途半端な事をしたから傷ついたはず。
それなのに…
『………そっか。大丈夫よ』
この時、電話だったからあいつの顔が見えなかったが、どんな顔していたのかは想像がつく。
俺のせいで、また泣いてるのか?
バカだな…。俺が泣かせたのに。
これを期に、もうあいつとは会わない方がいいのかもしれない。
これ以上、あいつも俺に関わらない方がいいんだ。
この際、俺を嫌ってくれていい。憎んだってくれていい…。
だけど、本当にこのままでいいのか?
あいつを傷つけたままで…。
そして、会えないと寂しいって想う俺がいる。
本当、図々しいな…。都合が良すぎるだろ…。