君に幸せの唄を奏でよう。



日陰に入っているベンチを探すため、辺りを見渡す。

その時、日陰に入っているベンチに中学生ぐらいの男の子たちが座っているのが、目に入る。

彼らは、楽しそうに喋りながら、立ち上がり何処かに行った。

急いでベンチを確保する。

結構、歩いたな…と思いながら、日陰の涼しさに体を休める。

ジュースでも買おうかな…と思い、ベンチの近くにある自動販売機に向かう。

どれにしようかな。新発売のジュースか普通のジュースか……。

でも、新発売が物凄く気になるしな…。よし。新発売のジュースにしよ!

財布からお金を出し、お金を入れようとした瞬間。

「高橋ちゃん」

誰かが、あたしの名前を呼ぶ。

聞き覚えのある声に、恐る恐る振り返る。その相手を見た途端、体が固まってお金を落としてしまった。

髪を茶髪に染めて、メンズ雑誌のモデルに載ってる様な顔。スラーとした身長とスタイル、何よりも久しぶりに聴く、爽やかな声。

あたしが忘れるはずもない---。

「久しぶり、高橋ちゃん」
「佐藤…先輩……」

爽やかに微笑むのは、中学校の時から変わってない。

その微笑みに、思わず体を後づさりさせる。

なんで此処に?!確か、噂では留学してるはずなのに…!

「見ないうちに綺麗になったね」

まるで、先輩はあの事が無かったかのように話しかけてくる。

逃げよ……。

これ以上関わりたくないから、立ち去ろうとしたけど、腕を掴まれ阻止されてしまう。




< 228 / 284 >

この作品をシェア

pagetop