君に幸せの唄を奏でよう。
「「ひいぃぃぃ!!すいませんでした!!」」
あたし達は、お許しを頂こうと全力で頭を下げて謝る。普段は、大人しいのに怒ると一番怖い。あの鈴木先生と張り合えるほどの恐ろしさを持っている。まだ、夏にもなっていないのに額から変な汗が出てくる。
「分かればいいよ。君達も毎回毎回…本当呆れるよ」
浩ちゃんは冷たい目から呆れた目と変わり、あたし達を見て溜め息をつく。
「「だって(よ)、亮太(唄希)が!」」
あたし達は、互いに指を差しながら浩ちゃんに訴えたのだが……。
「ふーん…まだ喧嘩するつもりなんだ」
再び、氷のように冷たい目があたし達を睨む。
「「申し訳ございませんでした!」」
さっきよりも、深く頭を下げて全力で謝る。まさに、蛇に睨まれたカエル状態。狩られる!絶対に狩られる……!
「浩ちゃん、今日は見逃してあげて!お願い!」
佳奈は浩ちゃんから許しを得ようと、両手を合わせて祈るように必死に説得をする。
「………分かった。相原がそこまで言うなら、今日の所は見逃してあげるよ」
佳奈の必死の説得を受けた浩ちゃんは、あたし達を見逃してくれた。
た、助かった!佳奈がいなかったら、本当にやばかった…。
「2人とも大丈夫?」
「「助かった。ありがとう!」」
あたし達に優しく話しかける佳奈が、救済の女神に見えてきた。
「本当、高橋さんもよくやるよね~」
突然、あたしの名前が聞こえたから声のする方に振り向く。すると、わざとあたしに聞こえるように会話をするいつもの3人組が居た。